現行の我が国の港湾の技術基準は,許容応力度法または安
全率による設計法を基本としている.一方,国際規格におけ
る構造物の設計法は,我が国の技術基準とは異なり,部分係
数法を用いた限界状態設計法を基本としている.
WTO/TBT協定により,各国の技術基準はISOと矛盾していな
いことが求められており,現在,日本では各種基準とISOと
の整合性を考慮した技術基準の改定作業が始まっている.一
方,ヨーロッパでは,構造物を設計するための統一規格とし
て,Eurocodesを策定中である.Eurocodesはウィーン協定に
よりISO規格原案となることが決まっている.
上記の背景から,本研究では,ISOへの対応および港湾の
技術基準の改定に資することを目的として,港湾の技術基準
とEurocodesに従った設計による安全性や設計断面に及ぼす
違いを定量的に明らかにした.検討項目としては,?斜面の
安定,?杭基礎の支持力,?直接基礎の支持力,?重力式岸
壁の滑動,?矢板式岸壁の安全性,?設計震度の算定法の6
項目である.
上記6項目について,港湾の技術基準とEurocodesに従った
設計による安全性や設計断面に及ぼす違いを定量的に明らか
にし,ISOへの対応および港湾の技術基準の改定に資するに
値する基礎的知見を得た.
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