本分析では,貨物量が増大しているとともに,背後圏がバ
ルク貨物に比べて広い国際海上コンテナ貨物を対象に,港湾
とその背後の生産地・消費地までの陸上輸送について,流動
距離に着目した分析を行なった.
これにより,以下の解析結果を得ることができた.
(1)国際海上コンテナ貨物取扱量の多い8大港のコンテナ貨物
の背後流動,港湾別や輸出入別等の流動距離特性の違いにつ
いては,
1.東京港,横浜港,大阪港,神戸港の背後への流動距離が
他の4港に比べ長い.
2.8大港の多くの港湾において,輸出よりも輸入コンテナ
の平均流動距離が短い.
3.アジア航路の平均流動距離は北米航路や欧州航路の平均
流動距離と大きな差がない.
(2)平均流動距離を算出する際の行政区分の違いについては
,生産地・消費地を市町村レベルで分析す る場合と,都道
府県レベルで分析する場合で,平均流動距離が大きく増減す
るケースがある.
(3)陸上輸送コストの検討等にあたっては,背後圏分析にお
ける行政区分の設定,港湾と背後圏との平均流動距離の検討
などが重要である.
これらの結果は,港湾整備に伴う陸上輸送コストの削減の
検討,環境への負荷の検討等の際の基礎資料となるものであ
る.
|