これまでの空港整備においては、この数十年間に多数の空
港を新設、拡張してきたが、いわゆる公共事業の成果が問わ
れている現在、空港整備に関しても、過去の政策の功罪を評
価し、今後の政策展開への指針とするための政策評価の実施
が必要である。この政策評価に際しては、行政目的に対して
、どのような手段を用いて、どのような成果を挙げてきたか
を、国民一般に明示するためにも、できるだけ客観的な指標
を用いて行うことが必要であり、この指標も、行政サイド(
供給者ベース)のものでなく、国民サイド(利用者ベース)
のものであることが必要である。政策評価は、この指標を評
価基準として、事前の評価、成果の測定、総合評価という流
れのなかでフィードバックしつつ行うべきものであり、その
指標は、極めて重である。
本稿では、「国内航空ネットワークの充実」をテーマとし
て、まず、航空に関する利用者の基本的なニーズすなわち、
「どこへでも行ける」、「いつでも行ける」、「確実に行け
る」など7項目を設定した。このニーズを的確に表現できる
政策指標、例えば「直航便で結ばれるOD数」「日帰り可能
路線数」「欠航率」など24項目を提案した。その指標に照ら
して現状のサービスレベルを数値化し、達成度を表現した。
これらを提案及び資料としてまとめるものである。空港整備
の評価については目指すべき水準の設定との比較を踏まえる
必要があるが、現状の水準をとりまとめそれらを考察すると
次のことが窺える。
一定時間で空港を利用できる人口の割合からして基本的な
航空ネットワークを支える空港の配置はほぼ概成し、路線数
も増加して、航空ネットワークは相当程度充実した。しかし
、大都市圏空港では自由な時間帯の便設定が困難な状況とな
っており、結果地方発のダイヤは必ずしも便利な時間帯に設
定されておらず、頻度の少ない路線も数多い。これらの改善
のためには大都市圏空港の容量拡大が望まれる。さらに離島
や地方における小規模需要に対するきめ細かな対応、定時制
や確実性の向上、などは引き続き充実させていく余地がある
。
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