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均し精度がケーソン底版断面力に及ぼす影響について−その2−

国総研資料 NO.0093 2003.06

執筆者宮田正史,森屋陽一,長尾 毅,菅野高弘
所属港湾研究部  港湾施設研究室

要旨

本研究は、捨石マウンドの均し精度(不陸量)がケーソン底版曲げモーメントに及
ぼす影響を評価するための手法を提案し、提案手法を用いた基礎的な検討結果を報
告するものである。
評価手法の構築にあたっては、はじめに実際の捨石を用いた大型模型載荷実験を実
施し、捨石マウンドの支持機構を明らかにした。次に、実験結果に基づいて、捨石
マウンドによる支持機構を確率的に表現する反力モデルを構築し、構築した反力モ
デルと底版のFEM解析及びモンテカルロ法を組み合わせて、底版曲げモーメント
を確率的に評価する手法を提案した。最後に、提案した評価手法を用いて、均し精
度が底版曲げモーメントに及ぼす影響について基礎的な検討を実施した。
載荷実験の結果、捨石マウンドによる支持機構は、極めて不均質かつ離散的なもの
であり、現行設計法で想定しているケーソン底版に作用する反力分布である線形分
布荷重とは全く異なる支持機構であることが明らかになった。また、本実験では、
マウンドの表面均しを専門とする潜水士によって、”本均し”及び”荒均し”の異
なる表面凹凸のマウンドの載荷実験を実施したが、今回の実験条件下では、両
者の支持機構の相違は認められなかった。次に、提案した評価手法を用いることに
より、均し精度が異なる捨石マウンドからの反力作用による底版曲げモーメントの
確率分布特性を把握することが可能となることを示し、併せてマウンド不陸量が
底版最大曲げモーメントの設計値からの増加程度に及ぼす影響について定量的な結
果を示した。提案手法による解析結果から、底版最大曲げモーメントのばらつきは
非常に大きく、またその期待値は、ほぼ全ての計算ケースで線形分布荷重によって
発生する最大曲げモーメント(設計値)を上回ることが明ら
かになった。この傾向は、特に底版中央部の最大曲げモーメントで顕著であった。

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