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廃棄物からエネルギーを回収する技術の調査

国総研資料 NO.0197 2004.12

執筆者村野昭人,鈴木武
所属沿岸海洋研究部  沿岸域システム研究室

要旨

温室効果ガスの排出削減の義務化や最終処分場用地の逼迫など,喫緊の環境問題に
対処するため,廃棄物からエネルギーを回収するとともに最終処分量を削減する技
術が開発されつつある.各技術には,それぞれ収集・転換・利用・副産物処理の要
素が含まれるため,立地場所や周辺環境がもたらす影響についても把握する必要が
ある.また,エネルギー回収施設は港湾に多く立地されており,そのメリット・デ
メリットを把握することが,今後の施設立地を考える上で不可欠である.そこで本
研究では,各技術の実用化事例を調査し,これらの技術を普及させるために克服し
なければならない経済的な課題,技術的な課題について整理を行うことを目的とす
る.
廃棄物からエネルギーを回収する技術の実用化事例について,エネルギー回収量,
エネルギー投入量,建設費,運営費等の運転実績の調査を行った.対象とした技術
は,生ごみメタン発酵施設,下水汚泥のエネルギー利用施設,家畜排泄物バイオガ
ス化施設,ごみ発電施設,スーパーごみ発電施設,RDF発電施設である.調査結果を
基に,各技術が持つ特色及び普及に向けた課題について整理した.

研究によって得られた主な知見は以下の通りである.
○バイオガス発電施設が普及する上での課題としては,メタン発酵に時間がかかる
ために広い敷地が必要となることや,消化液を肥料として利用できない場合,その
処理費用が高価となることが挙げられる
○ごみ発電施設が普及する上での課題としては,発電効率を上げるために,ガスタ
ービン出力を上げることには経済的インセンティブが働かないこと,新しい配管の
材質の開発が進むと,スーパーごみ発電方式は不要となること,ごみ行政の変化に
伴うごみ組成の変化によって出力が変化することが挙げられる.
○RDF施設が普及する上での課題としては,ダイオキシン問題が沈静化したため,メ
リットが薄れていること,爆発事故の影響で,安全対策にかかる費用が高価になっ
ていること,製造施設と発電施設の需給バランスを取らないと,輸送費が高くなる
ことが挙げられる.
これらの結果は,港湾整備に伴う環境負荷を検討する際の基礎資料となるものであ
る.

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