国総研資料

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バルク系貨物を対象とした背後流動・輸送機関分担の分析と利用港湾/輸送機関選択モデルの構築

国総研資料 NO.0201 2004.12

執筆者山鹿知樹,柴崎隆一,角野隆
所属港湾研究部  港湾システム研究室

要旨

港湾貨物のコンテナ化が進んだ近年においてもバルク系貨物の取扱量は依然として
大きな比率を占めており,資源・エネルギー・食料などの多くを海外からの輸入に
依存する我が国にとって,バルク系貨物の安定的かつ効率的な輸送を確保すること
は重要である.また,バルク系貨物の輸送効率化とそれによる産業競争力強化のた
めには,バルク系貨物の動向や背後輸送実態を把握するとともに,輸送ニーズに合
わせた対応を進めることが必要である.なかでも,港湾直背後でなく内陸部を発生
集中地とする外貿バルク系貨物や,長距離輸送される内貿バルク系貨物は,利用港
湾や輸送機関に複数の選択肢が存在し,その選択行動は,輸送効率化やモーダルシ
フトを目的とした諸政策の影響を大きく受けるものと考えられる.
そこで本研究では,はじめに,バルク系貨物の背後流動や輸送機関分担の実状につ
いて,陸上出入貨物調査や全国貨物純流動調査データを用いた分析を行った.つぎ
に,貨物輸送に関する政策の評価が可能となるような,バルク系貨物の利用港湾や
輸送機関の選択モデルを集計ロジットモデルにより構築した.具体的には,内陸部
を発生集中地とする外貿バルク系貨物を対象とし,港湾から仕向地までの輸送費用
や輸送時間,岸壁最大水深や荷役機械の設置状況などを説明変数とする港湾選択モ
デルや,長距離内貿バルク系貨物を対象とし,陸上輸送と海上輸送を区分した輸送
費用や輸送時間,流動ロット,運航頻度などを説明変数とする輸送機関/経路選択モ
デルを構築した.さらに,これらのモデルの現状再現性や時間移転性について確認
したうえで,構築したモデルを用いて,大型岸壁や高速道路の整備などといった政
策シミュレーションを行い,港湾取扱貨物量におよぼす影響の推計を行った.

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