国総研資料

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異常潮位がケーソン式防波堤の外的安定性に及ぼす影響について

国総研資料 NO.0241 2005.06

執筆者吉岡 健,長尾 毅,木部 英治,下野 隆司,松本 英雄
所属港湾研究部  港湾施設研究室

要旨

近年,多発しているといわれる異常潮位(高潮・津波を除いた天文潮からの
潮位偏差)は,その発生実態の把握や要因についての考察はなされているも
のの,具体的な港湾・海岸施設に対する影響については定性的な評価に留ま
っていた.異常潮位という不確実性の高い現象の影響評価にあっては,確
率・統計手法に基づく信頼性評価を行う必要がある.
本研究は,代表的な港湾施設であるケーソン式防波堤を対象とし,その外的
安定性(滑動,転倒)に関する異常潮位の影響を,信頼性理論によって評価
するものである.まず,全国97箇所,最大29年間の検潮記録を用いた統計解
析を実施した.その結果,異常潮位の発生確率分布は正規分布に従うととも
に,特に関東?南海にかけての太平洋側において,標準偏差が大きくかつ
年々増加傾向にあることを明らかにした.続いて,全国76施設のケーソン式
防波堤の建設事例を対象とした信頼性解析(FORM)を実施し,異常潮位の考
慮の有無が,滑動および転倒安定性に及ぼす影響を評価した.その結果,異
常潮位の影響度は小さく,それは潮位の感度が波力や摩擦係数に比べて小さ
いためであることがわかった.

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