国総研資料

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応用一般均衡モデルを用いた東アジア地域における経済・交通連携政策が国際海上コンテナ輸送にもたらす影響の試算

国総研資料 NO.0258 2005.09

執筆者角野隆,柴崎隆一,石倉智樹,馬立強
所属港湾研究部  港湾システム研究室

要旨

近年,東アジアにおいても,EPAの締結など経済連携強化に向けた動きが活発
化している.EPAの効用を最大限に発揮させていくためには,国際物流政策の
果たすべき役割が極めて大きい.EPAは,域内貿易障壁を低減させることによ
り,域内貿易を活発化させ,域内生産システムの効率化や消費者物価の下落
による効用をもたらすものであるが,国際物流システムの効率性が低く,生
産費用に対して輸送費用のウェイトが高い状況では,EPAによる関税低減の効
果は十分には発揮されない.つまり,EPAの効果を最大限発揮させるために
は,国際物流システム効率化のための国際物流政策が必要不可欠といえる.
EPAに対応するための国際物流政策の評価は,これまで国際物流分野で一般的
に用いられてきた計量経済モデルでは困難である.計量経済モデルは,過去
の時系列データをベースに構築されているため,EPAのような大規模な構造変
化に伴う影響は適切に評価することができない.この評価を行うためには,
ミクロ経済理論に基づく応用一般均衡モデルを用いる必要がある.
本研究は,国際貿易分析においてしばしば用いられる,応用一般均衡モデル
パッケージ(GTAP:国際貿易分析プロジェクトモデル)を用いて,EPAにより
関税障壁が低下した場合に国際輸送の構造がどのように変化するか,また,
域内各国が連携して物流システムの効率化のための国際物流政策を講じた場
合に国際貿易・国際輸送にどのような変化が生じ,それによりどの程度の効
用が期待できるか等について,定量的に分析するものである.

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