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遮水シートを用いた遮水工を有する管理型廃棄物埋立護岸の地震時挙動に関する実験的研究

国総研資料 NO.0256 2005.09

執筆者狩野真吾,小田勝也
所属沿岸海洋研究部  沿岸防災研究室

要旨

本研究では,遮水シートを用いた遮水工を有する重力式護岸形式の管理型廃
棄物埋立護岸を対象とし,地震動作用時における護岸変形が遮水工の遮水機
能に及ぼす影響を把握するための模型実験を行った.模型実験は,地盤中に
敷設された遮水シートの地震時における動的変形挙動および残留変形状態に
ついて明らかにすることを目的とした水中での模型振動実験と,地震動の作
用による護岸変位ならびに地盤変位が遮水シートに及ぼす影響について明ら
かにすることを目的とした気中での静的載荷実験を行った.
 模型振動実験の結果,加振中および加振後に遮水シートに発生したひずみ
は場所によって異なり,最も大きなひずみが発生したのは裏込法肩から法面
上部にかけてであった.ケーソンの変位と背後地盤の変形状態を計測した結
果,加振中の遮水シートの変形挙動はケーソン上端の水平変位の挙動と相関
性が高く,また,加振後の残留ひずみ分布は背後地盤の変形に追随した結果
であることが明らかになった.
 静的載荷実験の結果,3枚の短繊維不織布と2枚の遮水シートからなる二重
遮水シートは地盤の変形に伴って変形し,最大約60 %のひずみが発生した.
その際,2枚の遮水シートに発生したひずみがほぼ等しかったことから,2枚
の遮水シートは一体となって変形したことがわかった.また,二重遮水シー
トの地盤への追随性は天端の固定条件によって変化し,地盤に追随して変形
した場合においても遮水シートは破断しなかった.これにより,護岸変形に
伴う地盤の変形時の二重遮水シートの健全性が確認された.
 以上の模型実験結果により,地震時においても遮水シートの遮水機能が保
持され,地盤への追随性が損なわれないようにするためには,遮水シートの
天端端部をケーソン等の護岸構造物から切り離し,固定端を裏込天端上に設
置することが重要であることが示唆された.

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