国総研資料

一覧へ戻る

有明海の環境に対する住民の意識構造

国総研資料 NO.0325 2006.09

執筆者鈴木 武
所属沿岸海洋研究部  沿岸域システム研究室

要旨

有明海の環境問題を考えていくための基礎情報を得るため,熊本県内三市
(熊本,本渡,菊池)の住民を対象に,有明海の環境に対する意識を聞く質
問票調査を2005年8〜9月に実施した.その結果から分かったことは次のとお
りである.
 有明海の環境の現状を考えたとき,「もっと良くする」もしくは「今より
悪化させない」を選択した割合が高い環境項目は「海岸でのゴミや利用のマ
ナー」,「魚介類」,「水質・底質」であった.
 有明海の環境に関心を持つ最大の理由は,「子供たちや後世の人々のため
に汚れのない自然を残さなければならない」が第1位,「むだな開発による環
境破壊を止めたい」が第2位であった.
 有明海の環境問題に対する費用について,「ほとんどを地域で負担すべき
だが地域だけではどうしようもない」が全体の45%であった.一方で,何ら
かの割合で国に負担を求める回答は39%に達した.
 調査で得られたデータを使い,コンジョイント分析で支払意思額中央値を
推定した.各対策項目が単独で10%改善した場合の支払意思額中央値を推計
した.支払意思額中央値は,「水質・底質」の改善が第1位,「魚介類の生息
量」の増加が第2位,「干潟面積」の増加が第3位,「ノリ生産量」の増加が
第4位であった.

一覧へ戻る

お問い合わせはkikaku@ysk.nilim.go.jpまでお願いします。

(C)Copyright 1996-2007 Nationnal Institute for Land and Infastructure Management(NILIM)
No reproduction or republication without permission.