現在、以下の課題について研究を行っています。
空港土木工事の施工事例の収集・整理・分析を実施し「空港請負工事積算基準」を施工実態に適合した内容に改訂を行うとともに、新規工種の基準化への検討を行っています。
積算基準とは、標準的な工事価格を算出するために必要な
決まりごとで、
発注者はこの基準を基に工事の予定価格を算出しています。
また、「空港土木工事積算システム」の機能改良も行っています。
受発注者双方の労力軽減等を目的とした「ユニットプライス型積算方式」を平成16年度より一部の工事で試行してきましたが、より一層の積算の効率化を図るため「ユニットプライス型積算方式」の課題を改良した「施工パッケージ型積算方式」の空港土木工事への導入に向けた検討を行っています。
空港土木施設の安全性向上のため、「事後的な保全」から「予防的な保全」に向けた保全手法等の検討を行っています。また、空港舗装に係る維持管理業務の効率化および高度化を目的とした「空港舗装巡回等点検システム」の開発を行っています。
共通仕様書は空港土木施設の工事、設計や点検調査等の仕様を記載し各種工事の共通事項をまとめています。
また、空港土木施設施工要領では空港という特殊性を考慮し、工事の施工方法などを記述しています。
これらは空港土工事等の品質確保のため、必要な研究になります。
排水溝、共同溝などの空港に埋設される地中構造物の設計のため地中応力を適切に算定する必要があります。特に航空機の走行により生じる鉛直方向の応力は、深さが浅い場合影響が大きくなります。。
空港土木施設などの空港施設について、連続的な関係情報の取得・共有による効率的な整備、管理の実現などの施設のライフサイクル(調査、設計、施工、維持管理)を通じたサポートを目的として「空港施設CALS」が構築さています。この「空港施設CALS」について、機能や利便性の向上などの開発改良等を行っています。
※CALSとは、continuous acquisition and lifecycle support の略称です。
「空港舗装巡回等点検システム」は、 空港の滑走路・誘導路・エプロンといった基本施設舗装の 点検作業において、以下の機能を搭載しています。
4-①モバイルパソコン
4-②DGPS受信機
導入前 | 導入後 | |
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位置取得方法 | 現在地(異常箇所)は航空灯火等からの距離を巻き尺で計測し、空港平面図へ記録している。 | DGPS(MTSATを活用し位置精度向上)により、空港平面図に現在地を表示及び異常箇所を空港座標等 で自動登録可能。 |
診断・処置方法 | 舗装破損内容・規模による対応処置を個人的な経験に基づき診断。 | 舗装破損内容・規模により、客観的で適切な対応処置のアドバイス機能を実装しているため、土木職以外の職員でも診断処置可能。 |
過去損傷の追従 | 過去に記録した報告書等を現場に持ち出して閲覧し周囲を検索するため時間を要する。 | 異常箇所から指定された半径にある損傷を自動的に表示でき、過去損傷の追従が可能。劣化の進行が分かるよう時系列で表示させることも可能。 |
PRIの状況確認 | 点検時の参考情報として、画面上にPRI図等を表示させ現場で閲覧可能。 | |
点検図及び 帳票作成 |
現場で記録した異常箇所位置及び異常内容を所定の様式で作成する。 | 点検位置図と点検帳票の作成支援(点検位置図と帳票の一部は自動作成) |
従来の方法では、舗装の異常箇所があった場合、舗装に埋め込まれている滑走路中心線灯などの灯器からの離隔を巻き尺等で計測し、平面図に記録していた。本システムでは、DGPSと連携することにより、ボタン操作1つで異常箇所の座標の取得が可能となった。なお、位置補強情報(MSAS)を受信することにより、測定した誤差を1m以内に収めることが可能となった。
航空機のエンジンに、破損したアスファルト殻等が吸い込まれると大事故につながる恐れがあるため、空港舗装では厳密な点検・維持管理が求められる。本システムでは、過去の補修事例および点検に精通した方の経験等を基に、異常の形態および規模を入力すると、適切な対応措置が自動的に明示される仕組みとなっている。これにより、経験が浅い実務者でも、適切な措置をすぐに把握することが可能となった。
GISを活用し、空港基本図、施設名称図、航空灯火現況図、路面性状調査ユニット図、 走行経路、点検記録を画層で管理しており、パソコン画面上へ表示・非表示選択が可能なった。これにより、点検時に参考となる情報が増え、効率的な点検が可能となった。
点検記録簿は、空港土木施設管理業務記録作成要領に基づき空港事務所職員が作成しているが、現在この作業に膨大な労力を費やしている。本システムでは、登録した点検情報をExcel形式で自動的に出力できることから、点検記録簿の作成に係る労力の削減が可能となった。
航空機荷重により生じる鉛直地中応力が深さにともない変化するイメージを動画で表現したものです。なお、計算は、単層の弾性解析により行っています。浅い場所では、各車輪の影響が大きいものの、深さの増加にともない、山が崩れ、一つの山へと変わっていきます。この様子は航空機(の車輪の配置と荷重)により異なります。
以下に、3機種についての動画を掲載しています。
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