1)世界の海運動向の分析 |
港湾の開発・整備・維持管理等の方針を検討するには、海上輸送貨物の流動・船舶の動静・船舶諸元のトレンド等に関する情報収集や分析が必要となります。
当室は世界規模でのこのような海運ビッグデータを収集し、国土交通省や港湾管理者の政策立案等に資する分析を行っています。特にアジア−米国間コンテナ貨物流動については、毎月最新の状況を分析して当室HPで公開しています。
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2)AISを用いた船舶動静解析 |
AISはAutomated Identification System(自動識別装置)の略で、船舶の衝突防止を目的として作られた位置情報等の通信システムを指し、
分かりやすく言えば「船のGPS情報」です。AISは国際条約により世界中の中型船〜大型船に搭載及び一定間隔での位置情報発信が義務付けられており、
その膨大なデータを収集すれば船舶の動きに関する詳細な情報が得られます。当室は、日本国内の主要海域(東京湾、大阪湾、津軽海峡など)に
「国総研船舶動静解析システム」(NILIM-AIS)を構築して常時リアルタイムデータを収集し、さらに人工衛星等による国外海域のAISデータも入手し、様々な船舶のバース利用状況や災害時の避泊行動などを分析しています。
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3)コンテナターミナルの荷役高度化 |
港湾で取り扱われる貨物には多くの種類がありますが、その中でも統一された規格の容器である「コンテナ」は、世界の海上貨物輸送の効率を大幅に向上させ、人々の生活水準の向上に貢献しています。
コンテナの輸送(荷役)を担うコンテナターミナルは、欧州や東アジアを中心に技術開発が進展し、荷役の効率化が図られています。それに伴い東アジアにおける港湾間の国際競争は激しくなり、
さらに港湾における労働者不足問題や脱炭素化の対応が必要となっていることから、コンテナターミナルの荷役高度化は喫緊の課題です。
コンテナターミナルの荷役高度化の方法の1つに荷役機械の遠隔操作化・自動化があり、当室ではそれらのコンテナターミナルへの適用性や導入手法について、荷役方式・レイアウトなど様々な観点から研究を行っています。
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4)港湾の施設の技術基準に関する研究 |
日本には港湾の施設を建設、改良、維持する際に適用する独自の基準(「港湾の施設の技術上の基準」)があり、定期的に改訂が行われています。
当室では、航路・泊地・荷さばき地等の必要諸元算定の高度化や、船舶諸元の統計解析等に関する研究を行っています。
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