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最新年:2023

更新日:2024531

 

●2023年データの考察

@アジア⇔米国間コンテナ貨物輸送量

   米国内小売業の在庫量増加等の影響により、全体的に減少傾向

   アジア各国の輸出量は、前年の1,880万TEUから11%減少し、1,670万TEUとなった。微増した韓国を除いて各国ともに減少し、最も絶対量の多い中国発貨物は1,140万TEUから12%減の990万TEUに、増加を続けていたベトナム発貨物は250万TEUから220万TEUになり、過去10年で初めての減少(-11%)となった。アジア各国の輸出量の減少傾向については、新型コロナウイルスの流行や国際情勢(ウクライナ、中東等)によるサプライチェーンのリスクを踏まえ、アメリカ国内において小売業の在庫量が増えていたことが要因の1つとして考えられる。中国については、2018年頃からの米中貿易摩擦、長期的には製造業のASEAN・インドへのシフトの影響があるとみられる。ベトナムについては、国内の経済成長の鈍化が背景にあると考えられる。

   アジア各国の輸入量は、前年の5,130万TEUから1%減少して5,080万TEUとなった。2017年(6,100万TEU)以降は減少が続いており、当時より1,000万TEU程度減っている。国別で最もシェアの大きい中国が米国との貿易摩擦で貿易量を減少させ、ドル高によって各国の米国からの輸入が減少したことが考えられる。

A日本⇔米国間コンテナ貨物輸送量(米国東西岸別)

   コロナ流行時の米国西岸港湾混雑により東岸シェアが上昇

   日本からの輸出量は、前年の64万TEUからやや減って61万TEUとなった。西岸/東岸のシェアは70%/26%で前年からはほぼ横ばいであったが、長期的に見ると東岸シェアが上昇傾向にあり、2013年の16%から10ポイント増加している。特に2020〜2022年頃については、新型コロナウイルスの流行に起因する海運スケジュールの混乱が生じ、米国西岸港湾において船舶の顕著な混雑が発生したことが、東岸シェアの増加の要因の1つと考えられる。なお、2023年もそのシェアは前年同水準となった。

   日本への輸入量は、前年の68万TEUから62万TEUとなった。2023年は1年間で概ね130円/ドルから140円/ドルにドル高・円安が進展し、輸入量の押し下げ圧力があったものと考えられる。なお、西岸/東岸のシェアは81%/16%で、前年と比べると東岸シェアが減少したが、長期的に見ると概ね横ばいである。

B日本⇔米国間コンテナ貨物輸送量(トランシップ経路別)

   東岸直航航路開設により直航率上昇

   日本からの輸出については、米国東岸行きの直航率が2022年は3.4%と低迷していたが、2023年は14.2%に回復した。これは2021年夏頃から無くなっていた日本−米国東岸の定期直航航路が、2023年3月にCMA-CGMにより開設されたことが要因として挙げられる。なお、米国西岸行きの直航率は87%であり、過去10年にわたり9割前後の高い水準を維持している。

   日本への輸入について、米国西岸発の直航率は91.7%から2.4%上昇して94.1%となった。米国東岸発は昨年と同じく低調であったが、上述した直航航路(航路名:CBX、東回り世界一周航路)において横浜港はアジア→米国の輸送時(太平洋、パナマ運河経由)のアジア側の最終寄港地であり、米国→アジアの輸送時(大西洋、スエズ運河経由)は横浜港が最初寄港地ではないため、東岸からの輸入貨物の直航率が上昇しなかったものと考えられる。

C日本⇔米国間直航コンテナ貨物輸送量(本船発着港別)

   東岸直航航路開設により直航コンテナ貨物量増加

   日本からの輸出について、米国東岸行き直航貨物量は2020年頃より減少傾向が強く、2022年に0.6万TEUまで落ち込んだが、2023年は2.3万TEUに回復した。これは上述(B)と同様に直航航路開設が要因と考えられるが、その寄港地が横浜港であるため、この直航貨物の約9割は横浜港発となっている。

   日本への輸入については、米国西岸/東岸発ともに、港別のシェアに大きな変化は見られなかった。

 

データ種類

輸出

輸入

アジア米国間コンテナ貨物輸送量

グラフ

グラフ

日本米国間コンテナ貨物輸送量(米国東西岸別)

グラフ

グラフ

日本米国間コンテナ貨物輸送量(トランシップ経路別)

グラフ

グラフ

日本米国間コンテナ貨物輸送量(本船発着別)

グラフ

グラフ

 

過去の考察資料

分析対象年

2022

2023

2024

2025

2026