最新年:2024年
更新日:2025年7月9日
●2024年データの考察
@アジア⇔米国間コンテナ貨物輸送量
<サプライチェーンリスクへの懸念により全体的に増加傾向>
輸出
グラフ
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アジアの輸出量は、前年の1,666万TEUから16%増加し、1,933万TEUとなった。うち東アジアは前年の1,227万TEUから14%増の1,402万TEU、東南アジアは前年の439万TEUから21%増の531万TEUである。最も絶対量の多い中国発貨物は989万TEUから16%増の1,144万TEUに、次点のベトナム発貨物は220万TEUから27%増の280万TEUとなった。日本は韓国、タイに次ぐ5位の64万TEUで、前年の61万TEUより6%増加した。
輸入
グラフ
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アジアの輸入量は、前年の509万TEUから7%増加して546万TEUとなった。2017年から2023年まで続いていた減少傾向から増加に転じ、概ね2021年(540万TEU)の水準まで回復している。うち東アジアは前年の329万TEUから5%増の345万TEU、東南アジアは前年の180万TEUから12%増の201万TEUである。最も絶対量の多い中国着貨物は前年の162万TEUから1%減の161万であったが、次点の韓国が前年の56万TEUから28%増の72万TEUと大幅に増加させるなど、増加傾向にある国が全体を押し上げた。日本は3位の65万TEUで、前年の62万TEUより4%増加した。
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貨物量の増加傾向については、中東情勢等の地政学的リスク、米国東岸ストライキ、米大統領当選前よりトランプ氏が打ち出していた関税引き上げといったサプライチェーンのリスクを踏まえ、荷主が前倒し出荷を加速したことが要因として考えられる。
A日本⇔米国間コンテナ貨物輸送量(米国東西岸別)
<米国東岸ストライキ等が西岸/東岸シェアに影響する可能性があったが大幅な変化無し>
輸出
グラフ
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日本からの輸出における西岸/東岸のシェアは73%/25%で、西岸は前年から4ポイント増、東岸は1ポイント減となった。東岸シェアは長期的に見ると上昇傾向にあり、2013年の16%から10ポイント弱増加している。
輸入
グラフ
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日本への輸入における西岸/東岸のシェアは78%/17%で、西岸は前年から3ポイント減、東岸は1ポイント増となった。
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米国東岸のストライキや渇水によるパナマ運河の通航制限が東岸シェア低下に影響を及ぼす懸念があったが、結果として大きな変化は無かった。
B日本⇔米国間コンテナ貨物輸送量(トランシップ経路別)
<東岸直行航路の前年開設による直行率上昇継続>
輸出
グラフ
表
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日本からの輸出については、全体の直行貨物量は前年の39万TEUから14%増の45万TEUであり、直行率は前年の64.2%から5ポイント増の69.2%となった。米国東岸行き直行貨物量は前年の2.3万TEUから31%増の3.0万TEUであり、直行率も前年より5ポイント増の19.1%となった。米国西岸行き直行貨物量は前年の37万TEUから13%増の41万TEUとなり、新型コロナウイルス流行前の2019年頃の水準まで回復した。また米国西岸行き直行率は88.9%であり、例年通り9割近い高水準を維持している。
輸入
グラフ
表
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日本への輸入については、全体の直行貨物量は前年の51万TEUから6%減の48万TEUであり、直行率は前年の81.8%から8ポイント減の73.9%となった一方、その他トランシップが前年の8.3%から10ポイント増の18.7%と大幅に増加している。米国西岸発直行貨物量は前年の47万TEUから5%減の45万TEUであり、直行率は前年の94.1%から6ポイント減少の88.4%となった。米国東岸発直行貨物量は前年の2.7万TEUから16%減の2.2万TEUであり、直行率は前年の27.0%から7ポイント減少の20.4%であった。
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輸出については、2023年3月にCMA CGMにより開設された日本−米国東岸の定期直行航路により2023年に回復に転じた傾向が継続しているものと考えられる。一方輸入については、当該直行航路(航路名:CBX、東回り世界一周航路)において横浜港はアジア→米国の輸送時(太平洋、パナマ運河経由)のアジア側の最終寄港地である一方、米国→アジアの輸送時(大西洋、スエズ運河経由)は横浜港が最初寄港地ではないため、東岸からの輸入貨物の直行率が上昇しなかったものと考えられる。
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